アドバイスよりも効果的なアドバイス
「アドバイスをしてはいけない」の謎
以前、キャリアカウンセラーの勉強をしていたとき、「アドバイスをしてはいけない」と教わったことがありました。
そのときは、「アドバイスするのがカウンセラーの役目なのに、なぜなんだろう?」と完全に疑問に思っていましたが、最近その意味が少しずつ分かり始めてきたように感じます。
というのは、子ども若者支援の現場では、アドバイスのたぐいは約95%以上が「アクション」につながっていないと判明したからです。(個人調べ)
アクションにつなげるという目的を前提とした場合、アクションにつながるか否かの大事な3大ファクターとしては
- 信頼関係
- 実現可能性
- 本人の自信
がよく挙げられます。
しかし最も大事なことは、「セルフ・エンパワーメント」だと個人的に思っています。
セルフ・エンパワーメントとは何か?
セルフ・エンパワーメントとは、一言でいうと
「自分で自分を後押しする力」のことです。
エンパワーメントは支援業界では有名な考え方で、最近ではその価値が広く
認められ、多くの現場で取り入れられてきています。
エンパワーメント
社会的弱者や被差別者が、自分自身の置かれている差別構造や抑圧されている要因に気づき、その状況を変革していく方法や自信、自己決定力を回復・強化できるように援助すること。またはその理念。「庇護」や「救済」ではなく、本来の権利や人格を保つために力を付与する(エンパワー)という考え方に沿って、教育や支援を行う。フェミニズム運動や反差別運動から始まった。例えば、夫に抑圧されている妻が自助グループを利用し、自己の心理的・経済的自立を図る支援もその1つ。不当な力に対抗する知識や手段、権利意識の習得を支援することで、主体的かつ能動的な権利擁護を目指す新しいアプローチ。
外部からの働きかけによって動かされた場合、短期的に見れば行動につながるような感じがしますが、そのあとの継続率が低下していきます。
一方、エンパワーメントによって自己効力感が高まっている人は、自分の内部から行動を起こしていこうというパワーがあふれ出してくるので、そのあとのアクションには明らかな威力があります。
そしてそのようなエンパワーを自分でできるように促していくことができるのが、最高の支援者・教育者だと僕は思います。
アドバイスよりも効果的なアドバイス
アドバイスよりも効果的なアドバイスは「アドバイスしないこと」。
これが子ども若者たちから教えてもらった教訓です。
もちろん、どういう通信制高校があるかとか、方程式の解き方とか、履歴書の書き方などの専門的な情報・スキルはアドバイスします。
でも進路のことについては一切アドバイスはしない。せいぜいやることといえば選択肢を提供するくらいです。
自分の進むべき道は、自分で決める。
驚くべきことに、今、決められない若者たちが増えています。自分で決めたことに対しての責任を取るのが恐いからかもしれません。
だからこその「セルフ・エンパワーメント」。
自分で決めるという小さなタネが、見えない力で後押され、やがてキレイな花を咲かせることでしょう(^^)