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おざろぐ

東北から教育とか趣味とかをつづる小澤慎太郎のブログ

20代の振り返り②~村上春樹とパン屋とアップルパイ~

再受験のその後…

20代の振り返りシリーズ第2弾、前回は早稲田の理工学部から文化構想学部(文学部のようなところ、以下文学部と表記します)に再受験して奇跡的に文転した話までを書きました。

 

あらゆるプレッシャーから解放された僕は、文字通り、自由の翼を得たような気持ちでした。これから始まる4年間のキャンパスライフに胸を躍らせていたわけです。

 

正直に書きますと、文学部に入った最初の感想(および喜び)は、「女子が多い」ということでした(笑)

 

というのは、僕は中学高校は東北学院という男子校に6年間通っていたのですが、期待して入った理工学部、とりわけ物理学科は女子が60人中1人(たった1人!)という男子校みたいなものでした。

 

少し脱線しますが、青春時代である中高6年間は、特に恋愛というものをすることがなく、部活と勉強に励んだだけでした。

 

これは今思うと、集中して物事に打ち込めるというメリットがある一方で非常によくないことだと思います。中高時代に恋愛をしないという環境は思春期の子どもにとって健全ではありません。

 

事実、大学生になってから僕は初めて恋愛というものを経験したわけですが、コミュニケーションの取り方に慣れてなく最初はとても苦戦しました。

 

まぁそれは良いとして・・・理系に行って学科に女子が1人というのはとてつもないショックでした。(しかもその女子には彼氏がいた)

 

いったい何のために大学に入ったのか?とあやうく目標を見失うところでしたw(冗談)

 

「理工マジック」という言葉があって、理工学部の女子は3割増しで可愛く見える、というものです。

 

理工学部にはあまりにも女子が少ないので、ふだん何気なく見ている女子もだんだんと可愛く見えてきてしまうのです。(末恐ろしい!)

 

 当時、理工学部のキャンパスは大久保キャンパス(今の西早稲田キャンパス)だったので、「大久保工科大学」と呼ばれていました。事実、キャンパスは閉鎖した工場のようにモノクロで暗く、あちらこちらで実験が行われ、男ばっかりだった。

 

一方で、文学部の戸山(とやま)は「戸山女子大学」と呼ばれていました。男女比は4:6だったような気がしますが、理系出身の自分からしたら8割が女子、みたいな感覚でしたねw

 

村上春樹との出会い

文転してからの特記すべき大きな出会いは2つあります。一つは、学科の授業で村上春樹の作品に出会ったことです。

 

1年生の時に、クラスの授業で一人ひとり好きなテーマについて調べて発表する、みたいな授業があったのですが(詳細は忘れました)

 

ある男子が村上春樹の短編『パン屋再襲撃』という本をみんなに紹介してプレゼンしたのです。

 

それまで僕は、(性格があまのじゃくなので)有名な作家の本はほとんど読みませんでしたし、流行とは逆行する人生を歩んでいました。(唯一乗じたのがポケモン

 

村上春樹村上龍の人物の違いすら分からないレベルでしたから、まぁなんか有名な作家さんなんだろうなという感じでした。

 

ところが!この『パン屋再襲撃』と読んだときには、体全体が雷に打たれたような衝撃でした。

 

ストーリー性、文章表現、そこに込められた哲学的命題が僕を作品に入り込ませたのです。

 

パン屋再襲撃は、ある夫婦が空腹をしのぐため(あるいは過去のわだかまりを解消するために)夜中にパンを襲撃するという話です。男の方は過去にパン屋を襲撃(のようなもの)をしたことがあるのですが、それを聞いた妻が男を誘って再び襲撃をしに行くという話です。

 

なぜ、男はパン屋を再襲撃することになったのか?襲撃をしてその後どうなったのか?

 

気になる人はぜひ読んでみてください。短編なので10~15分くらいで読めてしまいます。

 

そのパン屋を読んでから僕は村上作品をもっと読みたい!と思うようになりました。

 

その後、長編も含めてほぼ全作品を読んでしまいました。

 

ある時は授業中に(小声)、またある時は体育館の2階で(これまた授業中に)毎日村上春樹の小説を読んでいました。

 

読んで気分がさわやかになって元気が出る、という部類の本ではないのですが、

 

不思議と魂が揺さぶられるものを感じていたわけです。

 

好きな作品は

海辺のカフカ

1Q84

・多崎つくる

ノルウェイの森

・世界の終わりとハードボイルドワンダーランド

ねじまき鳥クロニクル

です。

 

ノルウェイの森は、映画化もされていて(キャスティング等が大不評だったのですが)

 

個人的には、世界観が現れていて好きな作品です。僕の育ったキャンパスも撮影で使われているので親近感が湧きます。(まさか後に、ストーリーになぞらえるような恋愛を実際にするとは当時は露にも思ってなかった)

 

村上作品には一貫して『生きる意味』がテーマになっています。(と僕は解釈しています)

 

村上春樹に出会ったことは僕にとって生涯の財産になることと思います。

 

アップルパイとの出会い

2つ目の大きな出会いは、人ではないのですが、カフェで働き始めたことです。

 

きっかけは当時の新宿駅に「サンピエロ」というパン屋さんがあったのですが

 

そこのアップルパイがあまりにも美味しくて、電話して働かせてもらうことになりました。

 

それまで僕は塾講師しかバイト経験はなかったので、飲食業は初めてでした。

 

衛生管理だったり、サービス業だったり、商品をつくるということはかなり新鮮でした。

 

学習塾もサービス業(接客)ですが、子どもや親御さん達から「先生」と尊敬の対象としてみなされる一方で、飲食業などのサービス業は「お客さんの方が偉い」的なところがあるので、けっこう逆の感覚でした。

 

お客さんが絶対でしたし、お客さんからのクレームに対してはお店が100%悪いというような対応をしなければならないので、とても修行になりました。

 

パン屋→ベーカリーカフェ→カフェという風に仕事が変わっていきますが

 

自分が飲食業なんて今まで夢にもやろうとは考えてなかった飲食業が、たった一つのアップルパイのおかげで経験することになったのはこれまた不思議な出来事です。

 

最終的に、荻窪にある「ストラーダ」というカフェでラテアートの修行をさせてもらいました。(この話の詳細は次回書こうかなと思っています)

 

将来はカフェを開きたい、という夢は今でも胸の中にあります。

 

パン屋が人生を大きく変えた

人生は出会いによって、大きく変わっていきます。

 

その意味では、文転したことによって新しいことにチャレンジし、自分の世界が広がった時期でもありました。

 

文転しようと決意をしたこと、その信念を貫いて再受験したこと、新しい生活でさまざまな出会いがあったこと、当時の僕には感謝しています。

 

また支えてくれた周りの方にも感謝の思いが溢れてきます。

 

人生はなかなか思い通りにならないけれど、行動することによって変えられる部分が思った以上にけっこうあることを肌でひしひしと感じました。

 

これからも一つひとつの出会いを大切にして、新しいことにチャレンジしていきながら、人生という航海を楽しんでいきたいと思います。

 

人生を語る上で「パン屋」が僕の中ではキーワードになっています。

 

パン屋によって今の自分があるといっても決して言い過ぎではありません。

 

みなさんにとってのキーワードは何ですか?